投稿者:山口県 38歳 MIKANOさん
私は幼少期からいわゆる「霊線」というものが左腕にまっすぐ入っており、20代半ばまでありました。
子どもの頃、それを見た友人に「それ霊線っていうんだよ~。
その線がある人は見えるんだって」と言われ、気になりつつ過ごしていたのを覚えています。
しかし大人になるといつのまにか消えていて、不思議な経験でした。
その霊線がすでに消えていた20代後半、盆休みに祖母の家に遊びに行った時の話です。
祖母の家は山奥ですが、お隣さんも3軒あり、ご近所さんと言える距離の世帯はさらにもう2軒、行事も季節ごとにあり特別寂しい地域というわけではありません。
ただ、近くに母が育った小学校の廃校がありそこだけは少し寒い感じのする場所で誰も近寄りませんでした。
地域に若い人はおらず、もちろん子どももいません。
皆60歳~90歳代のご高齢ばかりなので、変わったことがあると皆さん敏感に反応します。
「○○さん家を出入りしている女の人がおるが、ありゃあ誰かいの?」という感じです。
その年の盆休みも祖母の家に着くと、早速見知らぬ車を見つけたご近所さんは「誰が来とるんかいのー?」と訪ねてきました。
私は毎回ここに来ると、同じ行動をします。
特に行くところもないので、暑い中外をぷらぷらと散歩するのが定番で、川を見つめては魚を見つけ、毎度同じ場所で水の中に手をつけて「冷たっ!」と大きめなリアクションをし、深呼吸で新鮮な空気を肺に流し込みます。
その後、小さな橋を渡ってお寺の犬にひとしきり吠えられ、お寺の住人が出てきて挨拶を交わし、その後廃校へ。
窓枠にくっついている巨大な蜘蛛やカマキリ、蝉の抜け殻を避けつつ、窓から中の様子を見てまわり「よし、今年も異常なし」とつぶやき帰るという、なんてことはないいつものコース。
ただこの日は違いました。
さて、帰ろうと踵を返し歩き出した時です。
廃校の隣を流れる川に沿って設置してあるガードレールが突然「キーーンッ!」と音を立て波動が伝わってきました。
驚いた私は立ち止まり振り向いたのですが、誰がいるわけでもなく、道の真ん中に缶が一つ転がっているだけでした。
「誰が缶を投げたんだ?」と一瞬ムっとしましたが、廃校の奥には小さな神社があるのみで行き止まりです。
そして周りに人もいません。
たった今私が歩いて通った場所のどこから、この缶は出てきたんだろうと不思議に思い、同時に少しの恐怖も覚え足早に立ち去ろうとしました。
さっさと歩く後ろからカランと音がします。
振り向くと風もないのに缶が私の方へ転がってくるのです。走りに走る私を、お寺の犬は更に吠え、もう何が何だかわからず、5分もかからない祖母の家まで何と遠く感じたことでしょう。
やっとの思いでたどり着き、家に居た叔母に一部始終伝えると「あそこにひとりで行ったらいけん!」と一喝されました。
しかし、翌年も同じ行動をしている懲りない私です。