投稿者:札幌 26歳 ルンルンさん
私がまだ幼稚園に行く前の非常に古いお話になります。
当時、私は父親の仕事の都合で東京の某地区のマンションで3人暮らしをしておりました。
東京での暮らしは紆余曲折あり結局1年にも満たないものになってしまったのですが、その際のある出来事が頭の中から離れず26才となった今でも偶に思い出します。
その出来事とは、夜中私が寝付けない時、三面の仮面をまとった人魂のようなものがケタケタ笑いながら、私に襲いかかった事件です。
その夜、私は両親の間に挟まって就寝していました。
しかし、何故か上手く寝付くことが出来ず、当時はスマートフォン等もないので、玩具として与えられたビーチボールを抱えて、ただぼんやりと天井のうす明るい橙色の蛍光灯を眺めることしかできませんでした。
そうして、何分か呆然としている内に眠くなってしまったのか、私は手に持っていたビーチボールを寝室の空いているドアに向かって転がしてしまいました。
すると、ドアの向こう側から「ビチッ!」とビーチボールが蹴られ部屋の家具に当たる音が聞こえてきました。
私は突然の出来事に混乱してしまい、両脇にいる両親を起こそうと試みた所、何故か全身が鉛のように重くなっており体を動かすことが出来ないことに気づきました。
また、声を出すことはできましたが、金縛りの時のように呼吸を上手くすることが出来ず、両親に対して助けを求めることが出来ませんでした。
そうして何もすることが出来ない内に、「ピタ…ピタ…」と裸足でこちらのいる部屋に向かってくる足音が聞こえました。
私は恐怖感があったにも関わらず、部屋の外にいる怪異を視認しなければならないという謎の義務感にかられ、ジッと部屋の外に視線を向けました。
すると、足音がとまり部屋の入口の方に白い人魂のようなものがぼんやりと浮いていることが分かりました。
するとその人魂の周囲を囲むように、三面の仮面が浮かびあがりました。
それぞれの仮面は笑顔、泣顔、渋面で、笑顔の仮面がこちらを向いていました。
笑顔の仮面は「ケタケタ」と凡そ、生涯聞くことのないようなおぞましい笑い声をあげました。
そして、その笑い声と同時に三面の仮面が私に向かって来ました。
私は逃げることもできず、両親に助けを求めることもできず、ただ「殺される」という強迫観念を持ちながら、迫りくる人魂を漫然と見つめることしかできませんでした。
そして、三面の仮面が私の頭上に来た際、体全体に大人一人分の重力を感じ、息をすることが出来なくなってしまいました。
私は気を失ってしまい、その後どのようなことが起きたか全く記憶しておりません。
殺されずに済んでよかったと今は感じておりますが、あの三面の仮面のことを思い出すとやはりぬぐい切れない恐怖を今でも感じます。