自分で言うのもなんだけど、俺の彼女はガチガチの理系。
頭なんか俺の何倍もいいし、意味不明の数式やら化学式なんかもスラスラ解いてしまう。
推理力、洞察力もかなりのもので、テレビのサスペンスドラマなんか見ていると、開始15分で犯人を当てちゃったりするんだよな。

そんな彼女なんだけど、俺はちょっと心配なことがある。
実は、俺の大学の周りで、妙な連続殺人事件が頻発しているんだ。
亡くなっているのは全部女性で、しかも俺の顔見知りだった人も被害者の中には含まれている。
大学の構内には警察関係者は報道陣なんかもうろついて、あまり穏やかな雰囲気じゃない。

こんな状況だったら、普通の人は、さっさと家に帰って戸締りして、暗くなったら外出しないってのが普通なんだろう。
でも、俺の彼女は研究熱心なところもあるから、どうしても夜遅くまで研究室にこもっている。
俺も心配で何度も迎えに行ったんだけど、その度に「あなたが守ってくれるから、私は遅くまで研究できるんだよ」って言われると、なんか強く言えなくなってしまう。
まあ、確かに、いざとなったら俺が彼女を守ればいいんだって……。
そのときは、そんな甘い考えに溺れていた。

ある日、事件の騒ぎがようやく引いてきた頃、俺はいつもの通り、彼女を迎えに行ったんだ。
マスコミは大学からいなくなっていたけど、事件はまだ終わったわけじゃない。
現に、連続殺人事件の犯人も捕まっていなかったし、彼女の安全が保障されたってわけでもない。

研究室の扉を開けると、そこには誰もいなかった。
教授も彼女を信頼しているところがあるから、たぶん鍵を預けて先に帰ったんだろう。

静まり返った部屋の中を、俺はいつもの通り鼻歌交じりに歩いてゆく。
だが、彼女がいるはずの部屋の扉を開けたとき、俺は自分の目の前に広がっている光景が信じられなかった。

「み……美幸……」

そこにあったのは、かつては俺の彼女、美幸だったもの。
背中に包丁を突き立てられ、机に伏せるようにして絶命した彼女だった。

「うわぁぁぁぁっ!!」

俺は叫び声を上げたまま、無我夢中で研究室を飛び出した。
警察に連絡しようとか、そんなことは頭にない。
ただ、現実を受け入れたくなくて、それだけで頭がいっぱいだった。

やがて、どれくらい走っただろうか。
気がつくと、俺は大学の近くにある公園のベンチに、肩で息をしながら座っていた。

自分の脳裏に浮かんでくる、最愛の彼女の変わり果てた姿。
なぜ、どうして、美幸が殺されなくちゃならないんだ。
そう思って頭を抱えたとき、俺のポケットに入っていた携帯電話が鳴り響いた。

「も、もしもし……」

恐る恐る、携帯を開いて電話に出る。
すると、電話の向こう側から、聞き覚えのある明るい声が響いてきた。

「あっ、先輩!
今、どこにいるんですかぁ?」

「その声……奈々か!?
お前こそ、いきなり何の用だよ!!」

声の主は、俺の後輩の奈々だった。
美幸と同じ研究室にいて、彼女の後輩でもある。
底抜けに明るく、誰にでも人懐っこい性格の持ち主で、それは俺に対しても同じだった。

「先輩、大変なんです!
美幸先輩が……先輩の彼女さんが、研究室で……!!」

それ以上は、奈々も声がかすれて上手く言えないようだった。
まあ、無理もない。
恐らく奈々は、俺が研究室を飛び出した後、俺の彼女の……美幸の遺体を見てしまったんだ。
だから、慌てて俺に連絡をよこしてきたんだろう。

「と、とりあえず、落ちつくんだ。
何があったのか……まずは、それをちゃんと説明してだな……」

「は、はぃ……」

自分でも白々しいと思いながら、俺は奈々をなだめ、話を聞いていやった。
案の定、奈々の話は美幸についてのことで……俺は美幸の死を、改めて実感させられることになってしまった。

「そうか……。
怖いとは思うけど……まずは、ちゃんと警察を呼ぶんだ。
俺も直ぐに行くから……その部屋から、勝手に外に出たら駄目だぞ」

最後に俺はそう言って、奈々との電話を一端終えた。
自分は逃げ出しておきながら、後輩にかける言葉ではないと思ったが、パニックを起こしている奈々を放っておけば、話がますますこじれるだけだ。

重たい溜息を吐きながら、俺は公園のベンチから立ち上がった。
ふと、携帯の画面を見ると、なにやらメールが届いている。
メールのあった時刻は、今から一時間と少し前。
電車の中にいて、携帯をマナーモードにしていたから、全然気がつかなかったようだ。

メールの送り主を確認すると、驚いたことに、それは俺の彼女である美幸からだった。
と、いうことは、このメールを送ったときは、美幸はまだ生きていたということか。

せめて、後一時間早く、研究室についていれば……。
再び後悔の念が襲ってきたが、俺は意を決して美幸の送ってきたメールを開いた。
が、次の瞬間、その中に書かれていた内容を見て、俺は言葉を失ってしまった。

【11/11/20/88/28/32/52】

「な、なんだよ、これ?
何かの暗号か?」

そこにあったのは、俺のような頭の悪い野郎には、到底理解不能な数字の羅列だった。
いったい、美幸はなぜ、こんな意味不明なメールを送って来たんだろう。
もしかすると、何かのダイイングメッセージのようなものなんだろうか。

メールの内容に意味深な何かを感じながらも、俺はとりあえず、奈々の待っているであろう研究室へと引き返した。
数列の意味は、奈々と会ってから、警察が部屋に来る前に二人で考えればよい。
そう思い、最後にメールの中身へと目をやったとき、俺はその一番下の部分に、奇妙な英語が書かれていることに気がついた。

【periodic table】


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