【洒落怖】奇数

今から話す事は俺が実際に体験した話です。

当時、高校を卒業して2年目の社会人だった俺は、
専門に通ってて、高校の時から仲の良いAとよく遊んでいた。

Aとは平日でも休日でも
お互い仕事と学校の終わった夜に遊ぶ事が多くて、
よく2人とか他にも仲間連れてドライブをしていた。

とは言っても、
住んでる所は田舎で地元にいてもする事がない。

大体は地元から車で一時間程の所にある
栄えた街(以下A市)で遊んでた。

その街からまた一時間くらい峠道を走ると
海沿いで栄えてる街(以下B市)があって、
よく行き来していたんだ。

その峠道は峠と言っても車の通りが多くて、
ラブホが密集したありがちな峠道なのね。

ある日、いつものようにAとドライブに出て、
A市からB市へ走っていた。

いつも通り俺が運転でAが助手席。

A「いつも思うけど、このラブホどこから入るか分かり難くねぇ?」

俺「おぉ、だよな。客呼ぶつもりあんのかな(笑)」

こんな感じでふざけた会話をしながらB市に着き、
しばらくブラつき帰るかってなった時。

Aが何気なく話し始めた。

A「ずっと気になってたんだけどさ、
あの峠の廃ラブホ何だろうな?」

俺「え?あの峠に廃ラブホなんてあったっけ?」

いつも運転していた俺は
廃ラブホの存在に気付いてなくて、
Aもその時初めて話したんだ。

A「ほら、A市から出て2つ目くらいのラブホ過ぎて左側にある場所だよ」

俺「?・・・わかんね。気付かなかった。じゃあ、帰りに寄ってみようぜ」

それでB市からA市に向かって走りだした。

A「あ、ゆっくり行って。もう少し・・この辺だよ」

俺「・・・なんだここ?」

他のラブホは2軒3軒で固まってるんだけど、
その廃ラブホは離れて1軒だけでポツンとあった。

当然、灯りもない訳だから暗くて、
道路より高い位置に建っててたから
俺は今まで気付かなかったんだ。

そして、ラブホの入り口に駐車して
外に出てみる事にした。

入り口には門があり車は入れないものの、
人なら簡単に入れる状態だった。

入り口から向かって左側に管理人室みたいなのがあり、
部屋は昔の一つ一つ独立したタイプで、
ポツンポツンと部屋が奥に続いていた。

俺「なんだここ?気持ちわりーなぁ」

A「やっぱり何かあった場所なのかな?」

かなり興味はあったものの、
その日はそれで帰った。

そして、別の日、
A市の友達のB宅で6人たむろって話しをしていたんだ。

そして、あの廃ラブホの事を話してみた。

地元のBなら何か知っているだろうと思っていた。

B「・・あぁ、知っているよ」

俺「あの場所何かあったの?」

B「あのラブホでカップルの首吊りがあって廃業したんだよ」

まぁ、大体予想は出来るありがちな話だ。

大して驚きはしなかったが、
正直、気味が悪いなとは思った。

そして、
男6人も集まってそんな話をしているとテンションが上がるもんで、
誰ともなく行こうって話になった。

B「いや、俺は絶対に行きたくねぇ」

Bがそう言うと一瞬だけ白けた空気になったが、
その場は行きたいという奴が多かった。

俺は霊とか全然信じてないけど、
怖いもの好きで雰囲気を楽しみたい。

Aはビビってるものの、
みんなが行くなら着いて行くよって感じ。

Bはなんとなく話し始めた時から感じていたが、
相当ビビっている。

Cはかなり気の強い奴で霊感もあると言う、
普通霊感あるとか言う奴は行きたがらないもんだが
かなり乗り気だ。

Dは興味無さそうだが、
怖がる様子もなく行ってみるかといった感じ。

Eも地元が隣町で
その廃ラブホの事を知っていたが、
着いてくる雰囲気だ。

まぁ、それなりに悪さする奴らばっかりだからノリは良くて、
特にCはかなり乗り気だった。

Bは絶対に行きたくないと行ったが、
一人で家に残るのも何だし、
車で待機してるという事になり出発した。

ちょうどBの車がワゴンで6人全員乗れた。

廃ラブホへ向かう道中、
Cがずっとハシャいでて、

「ビビってんのかよ(笑)」

とBをからかっている。

そんな中、雰囲気を出す為に
Eが話し始めた事があった。

E「心霊スポットとかには奇数人数で行かない方がいいだってさ」

俺「なんで?」

E「ほら、車って4人とか6人乗りだろ?
3人とか5人とかで行くと席が余ってると思って
憑いてくるんだとさ」

A「こえぇ・・・」

そんな話を聞いて
俺もちょいビビってしまった。

そして気づく・・・

俺「あ、でもBが車で待機だと
俺達5人で行く事になるから憑いて来ちゃうんじゃね?」

E「じゃあ俺がBと一緒に残るよ(笑)」

何だよ、実はビビってんのかよと
みんなケラケラ笑い出す。

そして廃ラブホに入るメンバーは
俺、A、C、Dと決まった。

間もなくして現場に着き、
4人が車から降りた。

人数がいるせいか
前に来た時より気味が悪いとは思わない。

すると、Dが廃ラブホを目の前にして
突然行きたくないと言い始めた。

D「俺、行くなんて言ってねーし・・・絶対に行かねー」

もうDは本当について来そうな感じはないし、
俺含む3人は困ってしまった。

これじゃまた奇数だろと・・・

E「仕方ねー、俺がDと代わってやるよ」

すると、Eが車から降りて言ってきた。

メンバーは変わったが
これでまた4人揃った。

まず俺を先頭にして、
次にA、C、Eと並んで進んで行った。

先頭は最初に進むから怖いし、
一番後ろはみんな走ったら一番最後になるから怖いよなとか、
そんな話をしつつまず管理人室へ。

小さいがLEDライトを持っていた俺は
辺りを照らしながら進み、
みんなも携帯のライトで照らしていた。

管理人室は高床式になっていて
入り口は床が腐って抜けている部分もあって、
慎重に進まなければ怪我をしてしまう。

中に入るとジメッとした空気で
急に薄気味悪い雰囲気が漂った。

何の手入れもしないでいるから湿気ているんだろう。

中をライトで照らすと
辺りはコンビニのゴミやらタバコが乱雑してて、
スプレーの落書きなんかもあった。

こんな場所だから
他にも肝試しする奴やホームレスなんかも来るだろうな。

まぁ、このくらいは想定内だった。

俺「オイ、下に降りる階段があるぞ」

俺は入り口からすぐ左の所に
下へ降りる階段を見つけた。

A「本当だ、降りるの?」

C「ここ何もねーし降りてみようぜ」

俺が妙に感じた事は、
高床式とはいえ
下に続く階段が外の階段より長く見えた事だ。

まぁ、暗いから目の錯覚かもしれないし、
もしかしたら変わった構造の建物なのかも。

階段を降りると
従業員の休憩室なのか交換用なのか、
布団が沢山ある部屋に着いた。

そこも吸い殻やゴミがある。

ホームレスなんかは冬凌ぐには最高の場所なんだろうな。

でも、誰もいない・・

まぁ、気味の悪い所だしな。

そんな事を考えながら辺りを見渡す。

広い部屋は無いが
小さな部屋がゴチャゴチャとあり、
入り組んだ作りだが思ったよりデカい建物みたいだ。

A「やっぱりホームレスとかの溜まり場になってんだね」

C「つうか、ここ管理人室だろ?
自殺があった部屋ってここじゃねーだろ」

そりゃそうだ、
管理人室は何かあるはずもない。

4人は階段を上り
管理人室を出て
ついに部屋に向かう事にした。

俺「なぁ、でも自殺があった部屋ってどこだよ?E知ってる?」

E「いや、それは俺も知らない。
とりあえず手前の部屋から行ってみる?」

個室は下が駐車スペースで上が部屋になっていて、
狭い階段上がらなければならない。

階段を上がると右に風呂とトイレ、
まっすぐで部屋。

テレビなんかの大きな家電はなく、
ベッドやソファーや小物はある。

今時のラブホと違い、
古臭い感じの部屋だ。

思ったよりも綺麗だが、
やはり人が入った形跡がある。

俺「とりあえず何か探してみようぜ」

みんなはベッドやらソファーを動かしたり
壁を見渡す。

俺は何気なく風呂に向かった。

風呂を開けてライトで照らすと浴槽に血か・・・?
と確信がなかったから、
大して驚く事もなくみんなを呼ぶ。

俺「おい、ちょっと来てくれ。血みたいのが付いてるぞ!」

E「うわっ、何これ?血?血だよな?」

いや、実際、血じゃなければ何なのかと・・・

浴槽の縁からタラーと跡が残っている。

それも少し出血といった量ではない。

気味が悪いが
みんなのテンションは上がっていた。

しかし、他に特別なものはなく、
次の部屋に向かう事になった。

部屋は奥に進むように並んでいて、
ざっと見た感じ10部屋以上はある。

そして2つ目の部屋。

が、特別何も無し。

3つ4つと進むにつれて、
部屋のガラスが破られていたり、
外にソファーが投げ出されている。

それはいかにも誰かが荒らしたような感じで、
もう4人は緊張感が解けて白けてきていた。

4つか5つくらい部屋を回った所で
みんな飽きてきていた。

自殺があった部屋もわからないし。

俺「そろそろ帰るか?」

C「あぁ、何もないし面白くねーな」

E「C、ここは霊とかいないの?」

C「いると思うんだけどねー、
部屋全部回るの大変じゃねぇ?」

A「結局、最初の部屋が一番面白かったな」

そんな事を話しながら
4人は来た道をトボトボと帰った。

多分一時間くらいはいたのかな?

さすがにBとDをこんなに待たせてるのも悪い気がしたし、
暇潰しにはなったと考えながら車に戻った。

そして、みんな車に乗り込み、
その場で話を始めた。

俺「ただいま、
一部屋だけ血みたいのがあっただけで、
他に何もなかったよ」

C「なぁ、つうか自殺があった部屋ってどこなの?」

B「・・奥から二番目の部屋だよ」

A「奥の方だったかぁ!」

4人は少し白けていたいたが、
自殺があった部屋はまだ入ってなかったとわかり、
また盛り上がり始めた。

俺「どうする?また行かねーか?奥から二番目」

C「行こうぜ!」

Aは若干青ざめた顔をしているが、
Eはどっちでもいいと。

そして再び向かう事になった。

今度はCが先頭で進み、次に俺、A、E。

4人共、恐る恐るといった感じだが
歩調は早い。

奥の方に着くのはすぐだった。

C「奥から二番目ってあれじゃね?」

俺「あれだな」

4人はとうとう自殺のあった部屋の前まで来た。

Eは平然としてるが、
Aはもうほとんど喋らなくなっていた。

そして階段の下まで来た。

他の部屋と同じく狭い階段が上に続いている。

Cを先頭に階段を上がる・・・

ん?

Cの様子がおかしい。

歩調はゆっくりで喋らなくなった。

さすがにビビっているのか?

部屋に入るとみんな隅に固まり
辺りをライトで照らす。

するとギョッとする物が目に入る。

花・・・

俺「なんだこの花・・・」

E「供え物とか?」

俺「普通こういう花供えるか?」

A「だよね、ちょっと変だよね」

何の花かはわからないけど、
地味でやたらと大きい花が部屋の真ん中に置いてある。

高さは人くらいはある。

もしかしたら他の部屋にはなかったが、
元々このラブホに置いてあったものかもしれない。

すると、Cがやっと口を開いた。

C「来るんじゃなかった・・・」

俺「ん?どうした?」

C「いるぞ」

俺「は!?どこに!?」

3人共、Cの真面目な口調に一気に凍りついた。

俺はすぐにCの目線の先を追った。

俺「・・・花か?」

C「このカップル、死ぬ前の事繰り返してる」

3人共、Cの言ってる事がいまいち解らなかったけど、
Cの表情を見て大体察しはついた。

A「おい、帰ろうぜ!」

E「おぉ・・早く行こう」

俺「C、行くぞ!」

みんな小声で話し、
俺はCの腕を引く。

すると、
Cが腕を引っ張ってる俺の手を振り解いて
俺の胸をドンと押す。

C「やべぇ、男が気付いた」

俺「じゃあ早く逃げようぜ!」

C「ダメだ!こいつきっと俺についてくる!お前らだけで行け!」

俺「何言ってんだ、行くぞ!」

もうAとEは俺の服を引っ張って
すぐにでも逃げようと訴えている。

C「先に行って車で5分待って俺が来なかったら逃げろ!早く!」

Cにそう言われて突き放され、
もう行くしかなかった。

意味がわからねー、
本当に何かいんのかよ?と思いながら
全速力で走り車に駆け込んだ。

B「そんなに急いでどうしたの?あれ?Cは?」

俺「はぁはぁ・・わかんね・・・やべーかも」

BとDは少し驚いた感じで色々聞いてくるが、
俺も正直理解出来てなかった。

もしかしたらCがふざけてるのかもしれないし。

俺「よくわからねーけど5分待ってCが来なかったら逃げろだと」

D「何それ?ふざけてんじゃないの?」

俺達自身が理解してなかったから、
質問しても曖昧な答えで
BとDもよくわからず困惑していた。

とりあえず、
煙草に火をつけて気持ちを落ち着かせる。

D「そろそろ5分経つんじゃね?Cも帰って来るだろ?」

短い時間だと思うが、
みんなだいぶ落ち着いてきていた。

よく考えてみればCがふざけてた様に思える。

しかし、それにしても遅い。

かといって本当に置いて行く訳にも行かず、
また不安な空気になってきた。

A「携帯に電話してみればいいんじゃね?」

俺「あ、そうか」

携帯を出してCに電話をかけようとすると、
先にCから着信が来た。

俺「もしもし」

C「もう少ししたら行くから待ってて」

俺「あぁ、早くしろよ」

俺はふぅと深く息を吐いて携帯を閉じた。

A「やっぱりCがふざけてたのか」

俺「もう何でもいいよ」

E「どうせ俺達3人笑われるぞ。友達置いて逃げたとか言って」

3人?

・・・3人。

何か引っかかったがすぐに気付いた。

俺「3人で帰って来るって奇数じゃねぇか」

みんなが黙り込む。

俺はとっさに携帯を開いて画面を確認した。

電波がない!圏外だ!

着信履歴を確認するとCからの着信はない。

俺「おい、ここ圏外だしCからの着信履歴がないぞ」

みんな「本当だ、電波ねぇ」

E「俺達、誰を待ってるんだよ」

D「Cだろ?Cが来るんだろ?」

違う。Cじゃない。

あいつは5分待って来なかったら逃げろと言っていた。

俺「早く車出せ!」

大声で言うとBがすぐさまエンジンをかけて車を出した。

さすがにみんなヤバいと感じていたと思う。

奇数とかそんな事関係あるのかよ、
未だに信じられないが現にCはいない。

そして逃げ帰っている途中にメールが来た。

俺「Cからだ・・『間に合った』・・・」

みんながひとつ空いた席を見た。


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